不良リーダーの懸命なる愛 〜プール編〜
「き、霧島くん!」
「ん?どした?」
「あ、あのですね?………ッ霧島くんはプールに興味ないって本当でしょうかあぁぁ??!!!」
「え………?!」
!!!
し、しまった!
質問がストレートすぎたかもしれない!!
その証拠に霧島くんがポカンと口をあけたまま私を凝視していた。
それに、声にかなりの力が入りすぎて、なんだか体育会系の挨拶みたいになっちゃったよぉーーー!!!
穴があったら入りたいよ……。
とほほ。
すると、霧島くんから明るい声が聞こえてきた。
「ハハハッ!!咲希、今度は何キャラ?!!可愛すぎる!……プククク。」
んなっ!?
こ、こっちはせっかく勇気を出してやっとの思いで訊いたのにっ!!
ブァハハハハハ
霧島くんはまだ笑っている…。
「~~もう!!可愛いだなんて絶対思ってないでしょ!?霧島くんのおたんこなすっ!!」
「ハハハッ!!“おたんこなす”って!それもう古いぜ、咲希殿?」
むぅ!!
「なによー!!人がどんな気持ちで訊いたと思って!」
「………………可愛い。」
ドキッ!
その時、霧島くんの不意打ちの殺し文句に心臓を一気に鷲づかみにされたように胸の奥が苦しくなった。
「も、もう!またそうやってからかうんだからっ!!!」
「ハイハイ。だって事実なのは仕方ねぇじゃん。」
「……っ。」
本当に、ずるいよ。
怒る気なくしちゃったじゃない…。
半分スネた感情を持て余していると、やがて霧島くんが静かに口を開いた…。
「それよりも咲希。やっぱ屋上に来たあの日、俺と准平たちの話、聞いてたんだな?」
「うっ…。」
急に痛いところをつかれてしまった。
やっぱり……バレちゃうよね。聞いてたこと。
そっと霧島くんの方を見ると、
何もかも見透かすような眼差しを私に向けていた。