不良リーダーの懸命なる愛 〜プール編〜
「……初めて来る場所だからさ、“一番は絶対咲希と。”って思ってたんだよな、俺。」
「ふぇ?!い、一番??」
突然そんな事を言い出した霧島くんに私は意表をつかれてしまう。
「ハハッ!なにその反応!要はこの場所で最初に咲希との思い出を作りたかったワケ。」
「え…?思い出……?」
私と?
霧島くんの真意がよくわからず、キョトンとしてしまった。
「ん。咲希とね。だからクラスの奴らの誘いは断った。アイツらには悪ぃことしたけど、俺は咲希と此処へ来たかったんだよ。そうすれば、プールに来るたびに思い出せるだろ?今日咲希と一緒に過ごしたことがさ。」
「……っ!」
それって、
もしかして……、
“私”のことを考えてくれていたってこと?
「最初の思い出は咲希。俺は初めからそうするつもりだったから、他の誘いは全部断わりをいれておいたってワケ。だからプールに興味ないなんて、んな事ねぇよ?」
そう霧島くんは私に諭すように柔らかい口調で告げると、私を見てゆっくりと目を細めた。
本当に……
この人はどうして………
こんなにも温かいんだろう。
私の心の中でまたひとつ、彼への想いの花が咲く…。
またそれと同時に、
急に目頭が熱くなってきて、気がつくと頬に温かいものが伝っていた。
「うっ…ぐす……。」
「――ッ!!さ、咲希ッ!?どうした!!?」
突如泣き出してしまった私を見て、かなり驚いてしまったのか狼狽する霧島くん!