不良リーダーの懸命なる愛 〜プール編〜
そんな楽しい一時を過ごした後、私達は再びプールサイドへ戻った。
気がつけば時計の針はもう14時をまわっていて、夏の陽ざしがお店に入る前よりも強く感じて、肌に刺さる。
それにしても……。
「なんだか、さっきよりも人が多くなってる…?!」
見渡す限りのプールはどこも来場客で既に埋まっていて、泳げるスペースなんてまるでないと思えるくらいで…。
その光景を目にして呆然とする私の横で霧島くんが呟くように話しかけてきた。
「そういえばさっき場内アナウンスが流れてて、なんでも入場制限をかけたらしい。だからこれが限界の人数なんだろうな。」
「え!?そうなの!?じゃあ、今の時間が一番混んでるってこと!?」
「だな。…にしても、スゲー人口密度だよな。どっかのテーマパーク並みに混んでるぞ、コレ。」
そんな声色を聞いて隣を見ると、私と同様に霧島くんも唖然としていた。
そこでハタと思う。
もしかして霧島くんって人混みが苦手なのかも…?
そう思ってしまうくらい彼の顔は少し青みがかっているように見えた。
「はぐれたらシャレにならねぇーだろうな、この混み具合。」
ん?
でも血色悪く見えるのは光のせいなのかな?
どうなんだろう?
確かめてみたいけど…。
霧島くん、背が高いから近づいて見てみたいんだけど、
と、届かない!
もどかしいこの距離を縮めたくて、霧島くんには気づかれないようにその場でそっと背伸びをする私。
「にしても暑ぃーな。今日35度超えてそうだし。」
う~ん……、頑張ってみたけどやっぱり無理か~。
せめて私が165㎝以上あれば、霧島くんと釣り合いがとれると思うんだけどな。