不良リーダーの懸命なる愛 〜プール編〜

あの頃は子供の乗り物っていうよりも20歳くらいのカップルがよく乗っていたような気がする。


若いお姉さん、というかちょうど今の私くらいの年齢の人達だったかな?


よく流れるプールで他の人が笑って遊んでるところを目にしてたな~。



そんな昔の記憶を思い起こして男の子を見ていると。



「咲希。」


「ぎゃあぁ!!」



急に霧島くんの顔が目の前に現れたっ!!



「急にいなくなるなよな?マジで焦った。」



あ!もしかして心配かけちゃったかな!?



「ごめんなさい…。ちょっとこのお店が気になっちゃったから、つい。」


「気になったって、お店のどこが?アロハシャツがか?それともサングラスか?それとも反射力が強いスキンヘッドがか!?」



ん!?



それって全部ヤスさんのことなんじゃ…?



「あのね、そうじゃなくって。実は、その、アレのことなんだけれど…。」



と、さっきまで眺めていた動物の浮き輪を指さす。


霧島くんも私の指し示す方へと視線を向けてくれた。



「へぇー!イルカとかシャチまであるんだな。まるで海の家みたいだな?」


と漸く霧島くんにも笑顔が戻る。



「咲希はどれが欲しいんだ?あの青いイルカか?」


「えっと、私は……。」




……って!!



違うでしょ、私!!



今のはただ懐かしんでいただけで、別に欲しいとか思ってるわけじゃないしっ!



それに霧島くんにねだっているみたいで、これじゃあ隣の男の子とほぼ変わらないよ。



とほほ。

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