不良リーダーの懸命なる愛 〜プール編〜
第4章
好きな顔
マリコさんの元から逃れると私達ふたりは流れるプールへと向かった。
「はぁ~。やっぱり水の中は気持ちいいね、霧島くん!」
夏の暑さのせいか、プールの水はさほど冷たく感じずに心地よい水温だった。
私はヤスさんのお店で借りた例の赤いタコさんを浮かべながら、水の流れに身を任せてぷかぷかと浮いていた。
「ね!霧島くんもそう思わな…」
と、後方にいるであろう彼にそう訊こうとすると。
ぎゅっ。
!!?
なんと後ろから霧島くんがタコさんもろとも私を抱きしめてきた!!
な、何事!??
「…咲希さ。」
「――っ!」
あ、甘い吐息が私の耳にぃ~~~!!
突然の彼との密着に心臓がバクバクと音をたて始めるッ!
どどどどうしたんだろう!!?
まさかこんなところで意地悪とかしないよね?!
というかまた、キスされるとか?!!
って!!
何を考えてるのよ!私!!
「きき霧島くん!!?あ、あの、」
「さっき俺のこと、ダサいと思った?」
「…………へ??」
この時私はなんとも間の抜けた声を出してしまった…!
だ、ダサいって今言った?
って、霧島くんを!!??
なぜ!?
彼の謎の問いに答えられずにいると、霧島くんがまた質問してくる。
「笑ってたジャン。ジジイの前でさ。」
「あ……!」
もしかしてあの時の!?
マリコさんが霧島くんのプライベートを暴露しちゃったときに私が思わず笑ってしまった時のことだよね…?
「俺のまぬけ話をジジイから聞いて咲希笑ってたろ?
だからもしかしてすんごいダセェとか思われてんのかなって、俺。」
そう言うと霧島くんは絡めてきた腕に力を入れて私の上体を自分の方へ寄せるように、さらにきつく抱きしめてきた!!