不良リーダーの懸命なる愛 〜プール編〜
でもそのお顔はほんの一瞬のことで、またいつも通りの大人っぽい彼に戻ってしまった。
「悪い、急に変なこと訊いて。またかっこ悪ぃところを咲希に見せちまったと思ったら、なんか勝手に一人で焦っちまってさ。」
「…………。」
「って。それがそもそもダセェか。」
「…………。」
「急に抱きしめて悪かった。痛くなかったか?」
「…………。」
「咲希?やっぱ痛かったのか!?」
「へ?!………あ、はい!!だ、大丈夫です!」
……き、
聞いてなかった!!!
何の話をしてたの!!?
「…さては今の、聞いてなかっただろ?」
「へぃっ!?」
そして全てお見通し!!
「あああああのですね、えっと、その、」
と必死に言い訳を考えようとする私。
すると霧島くんの絡んでいた腕が解けて距離わずかにあいた。
「まぁいいや。咲希が失望してんじゃねぇのがわかったから、それで。」
「え?!失望?!!どうして!?」
霧島くんに失望することなんてないのに!
それよりもむしろ、どんどん好きになっちゃってて、気持ちが追いつかなくて困ってるのに~~~!!
と、勝手に一人で奮闘していると、霧島くんがやや怪訝な顔でこちらをじーっと見つめていた。
でも皆が泳いでいく遥か前方に視線をそらすと一考した後、霧島くんから提案が!
「咲希。俺ちょっと頭冷やしに一周泳いでくるからそのままタコと泳いでてくれない?」
「う、うん!いいけど、どうしたの?頭冷やすって…?」
「まぁ、ちと大人げなかったなと思って反省したいだけ。すぐ戻ってくるから泳ぎながら待っててくれない?」
…そっか。
もしかして少しの間だけ一人になりたいのかな?
反省って言ってたし。
霧島くんにもそういう時はあるよね!