不良リーダーの懸命なる愛 〜プール編〜
ナンパ
霧島くんが姿を消してから程なくして、私は一人タコさんと一緒に泳いでいた。
「霧島くん今、どの辺りを泳いでるのかな?」
“3分で帰ってくる。”
そう霧島くんは言い残して行ってしまったけど、本当に3分で帰ってこられるのかな…?
この流れるプールはアクアランドの名物といってもいいほどの長さを誇っているプール!
だから一周3分で帰ってくると言っていた彼の言葉が俄かには信じられずにいた。
「ちょっと隅っこの方で待っててみようかな?よいしょっ。」
泳いでる人の邪魔にならないように端の方へ寄ると、ちょうど側には浅く造られたスペースがあった。
そこは子供やお年寄りが居て、波が押し寄せることもない小さな湖のようだった。
私も段差をゆっくりと上がるとその広い湖へと足をひかれていった。
一度見渡して遠慮がちにプールサイドに座ると足だけ水につけた。
タコを前に抱いてちゃぷちゃぷとばた足をすると、漸く一息つけた。
一人だけ周りから浮いていても、不思議と気にならないのはやっぱりさっきのことが原因かもしれない。
「……ご褒美って何をするんだろう?」
さっき霧島くんに言われたことが何度も蘇ってくる!
『一周3分で帰ってくるから。んで、俺が咲希に追いついたらご褒美な?』
『んじゃ3分後、楽しみにしてるから。』