不良リーダーの懸命なる愛 〜プール編〜
「言っとくけど、咲希にテを出してぇなら俺を倒してからにしろよ?いつでも相手になってやる。」
「なっ!?こ、この野郎!!さっきから、黙って聞いてればかっこつけやがって!!!」
と、一人が霧島くんに殴りかかろうとしたその時!
「ッ!!お…おいっ!ちょっと待て!!」
他の一人がそれを制し、なぜか驚いたように霧島くんをじーっと穴が開くほど見ていると…。
「……まさか……こいつ…あの霧島理人じゃねぇか?!」
「「なに!??き、霧島理人!!?」」
え?
今、この人達、霧島くんの名前を言った!?
なんで?
どうして霧島くんの名を??
もしかして知り合いだったとか…??
私も驚きを隠せず、事の成り行きを見守っていると霧島くんが静かに口を開く。
「へぇ~。あんたら、俺のこと知ってたのか。なら話は早いな?…今ここで昔のように地獄を味わうか?それともそれ以上の、」
「「「し、しし、失礼しましたぁぁーーー!!!!」」」
そう男たちは絶叫して、一目散に凄い速さで逃げてしまった。
な…なんだったんだろう……。今の人達は…。
霧島くんに喧嘩を売っていたのにあっという間に消えちゃったし。
何が起きたのか理解できずにいると、突然温かいものが私を包んだ!
「わっ!ちょっ、霧島くん?!」
霧島くんが人目を憚らず、私を抱きしめてきたのだ!
「大丈夫か!?怪我しなかったか!?」
「う、うん!なんともないよ?霧島くんが助けに来てくれたから…。」
「はぁ。マジ焦った…。咲希にもしものことがあったら俺、自分を許せねぇところだった…!」
そんな…!霧島くん!
私の不注意のせいなのに…。
そう言いたいのに、彼がくれる痛いほどの優しさに胸が熱くなってしまい、それ以上何も言えなくなってしまったのだった。