不良リーダーの懸命なる愛 〜プール編〜
こ、これじゃあへそを曲げている私の方が悪いみたい…。
……………。
………。
……でも、そっか。
もしかしたら霧島くん、私が無理していることに途中で、
気がついたのかもしれない…な。
だからご褒美、いらないって言ってくれたのかも…。
霧島くんは、私の嫌がることは決してしないから。
前にも…、確か図書館での勉強会の時だった。
『なんか咲希に無理させちまってたみたいで……気がつかなくてごめんな?嫌だったろ?』
霧島くんが私にそう言って距離をとったことがあった。
そう。
彼はいつだって私のことを……。
「咲希、マジで悪かった。だから、許してくれない…?」
「……わ…かった……。」
彼の優しさに気付いてしまったから、その一点の曇りもない瞳を見ていられなくて私は視線をそらしながら頷いた。
やっぱり霧島くんには敵わないよ……。
「ん。ありがとな、咲希。…じゃあ、一旦休憩しようぜ!俺はもう一度かき氷買ってくるから咲希はあそこにあるデッキチェアでタコと待っててくれ。」
「う、うん…。」
「何味がいい?」
「…いちご。」
「了解。それじゃあ……、准平。お前は咲希の側にいて変なヤローから咲希を守れよ。覗きをするくらい暇なんだったらよ。」
「…え?准平くん??」
って、どこにいるの!?
すると柱の影から、
「ヤッホー!」
と、准平くんが顔を出す!
い、いつの間に?!
「普通だったら覗きの罪でげんこつだが、今は咲希の身の安全の方が大切だからな。…いいか?間違ってもテは出すんじゃねえぞ?」
と、霧島くんがやや凄んでみせる。
「オッケー、理人さん!俺にまかせてちょっ♪いってらっしゃ~い!」
「…本当に大丈夫だろうな?まあとにかく、急いで行ってくるから。咲希、待っててくれな?」
「…っ。う、うん。有難う、霧島くん!」
彼は私に微笑み返すと、人混みの中へと消えていったのだった……。