死と憤怒
そして、肯定した。
ヴォルフラムは静かに視線を二人へ向ける。
「罪も罰もずっとひとりで背負うつもりなんだろう?」
そう言うと真っ直ぐに見つめる。
「優しくて弱い奴だ。……なぁ、ヴォルフラム。お前はどうしたい?“サタン”だった頃のお前ではなく、今のお前はどうしたい?」
その問いにヴォルフラムは目を見開く。
考えたこともなかったというようだ。
「それは……」
そう言って目を伏せる。
「——、……ひとりは、いやだ。」
「じゃあ、離れてあげない。」
助けを求めるような声にメアリーは笑う。
「決まりだな。」
ローレンスも笑った。
「貴様ら」
「わかってる。」
二人は言葉を遮る。
「死ぬ覚悟くらい出来てる。」
「もう、離れろなんて言わせないわ。」
静かに、強く。
反論を赦さない目で言った。
「——っ、」
言葉にならない声で訴える。
それはやはり拒絶だ。
だが、それを直ぐに噤んだ。
「ありがとう。」
柔らかな声音で言う。
「やっぱり、俺は……ひとりで生きていける自信がない。喪いたくない気持ちと同じように共に居たい。」
そう言ったと同時にタナトスの言葉が過る。
『愛されるだなんて勘違いしないことね。』
嘲笑する彼女の言葉。
『愛されるだなんて選択して受け入れるものじゃないわ。』
相反する愛情の言葉。
『知ってるでしょう?貴方の大事なひとは皆死んでしまうのよ。』
何度も反芻していた言葉。
『死ぬ覚悟くらい出来てる。』
『もう、離れろなんて言わせないわ。』
それをこの二人はどこまで信じているだろう。
その上で、言っているのか
「傍に居てくれ。」
そう願った自分が一番知っている。
なくしてしまう。
いやだ。
それは、ぜったいにあってほしくない。
これ以上、殺したくない。
——ゆるして
『私は貴方を許さない。』
その願いを否定する声。
ローレンスが肩に手を置いた。
そのことで幻想から現実に引き戻される。
「ほらな。最初からそう言えばいいんだよ。」
「意固地ねー。」
「そうだな。……済まなかった。」
呆れ顔の二人をヴォルフラムは見る。
「こいつの意固地は生まれつきだから、しゃーない!」
ローレンスが笑いながら言う。
「少しは妥協しなさいよ。」
メアリーはそう言い終わって、ヴォルフラムを見ると驚く。
「善処する。」
安心するように、感謝するように。
彼は笑っていた。
ヴォルフラムは静かに視線を二人へ向ける。
「罪も罰もずっとひとりで背負うつもりなんだろう?」
そう言うと真っ直ぐに見つめる。
「優しくて弱い奴だ。……なぁ、ヴォルフラム。お前はどうしたい?“サタン”だった頃のお前ではなく、今のお前はどうしたい?」
その問いにヴォルフラムは目を見開く。
考えたこともなかったというようだ。
「それは……」
そう言って目を伏せる。
「——、……ひとりは、いやだ。」
「じゃあ、離れてあげない。」
助けを求めるような声にメアリーは笑う。
「決まりだな。」
ローレンスも笑った。
「貴様ら」
「わかってる。」
二人は言葉を遮る。
「死ぬ覚悟くらい出来てる。」
「もう、離れろなんて言わせないわ。」
静かに、強く。
反論を赦さない目で言った。
「——っ、」
言葉にならない声で訴える。
それはやはり拒絶だ。
だが、それを直ぐに噤んだ。
「ありがとう。」
柔らかな声音で言う。
「やっぱり、俺は……ひとりで生きていける自信がない。喪いたくない気持ちと同じように共に居たい。」
そう言ったと同時にタナトスの言葉が過る。
『愛されるだなんて勘違いしないことね。』
嘲笑する彼女の言葉。
『愛されるだなんて選択して受け入れるものじゃないわ。』
相反する愛情の言葉。
『知ってるでしょう?貴方の大事なひとは皆死んでしまうのよ。』
何度も反芻していた言葉。
『死ぬ覚悟くらい出来てる。』
『もう、離れろなんて言わせないわ。』
それをこの二人はどこまで信じているだろう。
その上で、言っているのか
「傍に居てくれ。」
そう願った自分が一番知っている。
なくしてしまう。
いやだ。
それは、ぜったいにあってほしくない。
これ以上、殺したくない。
——ゆるして
『私は貴方を許さない。』
その願いを否定する声。
ローレンスが肩に手を置いた。
そのことで幻想から現実に引き戻される。
「ほらな。最初からそう言えばいいんだよ。」
「意固地ねー。」
「そうだな。……済まなかった。」
呆れ顔の二人をヴォルフラムは見る。
「こいつの意固地は生まれつきだから、しゃーない!」
ローレンスが笑いながら言う。
「少しは妥協しなさいよ。」
メアリーはそう言い終わって、ヴォルフラムを見ると驚く。
「善処する。」
安心するように、感謝するように。
彼は笑っていた。