死と憤怒
ヴォルフラムははっとして現実に引き戻された。
「存じているのだろう?この者の魂がどれだけ罪深いか。」
「輪廻や前世なんか関係ないだろ。」
「地上の生き物はそれだからだめなのだ。まるで分かっていない。」
そう言って軽蔑した。
「そこの者もまた、今ここで死ぬ。」
その言葉と共に光が差して、もうひとり現れた。
タナトスだ。
「……タナトス。」
今ここであの時の嘘を改めれば、輪廻は止められるのだろうか。
「それが貴方の罪よ。」
タナトスが嗤う。
「そうは、させない。」
ヴォルフラムはメアリーを庇うように立ち塞がる。
「面白い。貴方、前よりも随分と愉快になったわね。」
「茶番は要らない。」
面白がるように言うタナトスの隣でアズライールは静かに目を閉じる。
「ひとつ教えておいてやろう。」
そう言って剣を構えた。
「天属……即ち、我らがこの羽根を地上界で見せることは、本気を出すときだけだ。それ以外は羽根があっても普通の者には見えやしない。神による恩恵、即ち神力が強大であれば地上の生き物にも見えるようになる。」
「本気で殺しに来たから無駄な抵抗はするな、と?」
「ふ、聞き分けが良いことは褒めてやろう。」
アズライールは手を構えた。
剣が現れ、刃が白く光った。
「この剣は我らに与えられた力。神力で出来たものだ。いかなるものも、殺すことが出来る。」
「神の前に差し出してあげるわ。罪人。」
アズライールの横に立ち、タナトスが嗤う。
「死になさい。」
「させるか!」
そう言ってローレンスが飛びかかる。
「ローレンス!!」
ヴォルフラムが叫んだ時は既にタナトスが微笑んでいた。
白い鎖がローレンスに巻き付く。
「ぐわぁあ!!」
「罪の痛みを知りなさい。」
その鎖をヴォルフラムは知っていた。
“冥府の鎖”
そう呼ばれる鎖は自身の罪の重さに縛られる責め苦の為のものだ。
タナトスが触れた時のみ、その重さは痛みに変わる。
地の底で嫌というほど知っている記憶。
「やめろ!手を出すな!!」
ヴォルフラムの叫びにタナトスは愉快そうに笑う。
「そうよ!その顔が見たかった!!」
高らかに笑うタナトスにヴォルフラムは飛びかかる。
「タナトス。貴様が殺したいのは、俺だろう。」
胸ぐらを掴むと言う。
そうであって欲しいという顔だ。
「違うわ。貴方を永劫に許さない。償って欲しいだけよ。」
「関係ないひとを巻き込むな。」
「存じているのだろう?この者の魂がどれだけ罪深いか。」
「輪廻や前世なんか関係ないだろ。」
「地上の生き物はそれだからだめなのだ。まるで分かっていない。」
そう言って軽蔑した。
「そこの者もまた、今ここで死ぬ。」
その言葉と共に光が差して、もうひとり現れた。
タナトスだ。
「……タナトス。」
今ここであの時の嘘を改めれば、輪廻は止められるのだろうか。
「それが貴方の罪よ。」
タナトスが嗤う。
「そうは、させない。」
ヴォルフラムはメアリーを庇うように立ち塞がる。
「面白い。貴方、前よりも随分と愉快になったわね。」
「茶番は要らない。」
面白がるように言うタナトスの隣でアズライールは静かに目を閉じる。
「ひとつ教えておいてやろう。」
そう言って剣を構えた。
「天属……即ち、我らがこの羽根を地上界で見せることは、本気を出すときだけだ。それ以外は羽根があっても普通の者には見えやしない。神による恩恵、即ち神力が強大であれば地上の生き物にも見えるようになる。」
「本気で殺しに来たから無駄な抵抗はするな、と?」
「ふ、聞き分けが良いことは褒めてやろう。」
アズライールは手を構えた。
剣が現れ、刃が白く光った。
「この剣は我らに与えられた力。神力で出来たものだ。いかなるものも、殺すことが出来る。」
「神の前に差し出してあげるわ。罪人。」
アズライールの横に立ち、タナトスが嗤う。
「死になさい。」
「させるか!」
そう言ってローレンスが飛びかかる。
「ローレンス!!」
ヴォルフラムが叫んだ時は既にタナトスが微笑んでいた。
白い鎖がローレンスに巻き付く。
「ぐわぁあ!!」
「罪の痛みを知りなさい。」
その鎖をヴォルフラムは知っていた。
“冥府の鎖”
そう呼ばれる鎖は自身の罪の重さに縛られる責め苦の為のものだ。
タナトスが触れた時のみ、その重さは痛みに変わる。
地の底で嫌というほど知っている記憶。
「やめろ!手を出すな!!」
ヴォルフラムの叫びにタナトスは愉快そうに笑う。
「そうよ!その顔が見たかった!!」
高らかに笑うタナトスにヴォルフラムは飛びかかる。
「タナトス。貴様が殺したいのは、俺だろう。」
胸ぐらを掴むと言う。
そうであって欲しいという顔だ。
「違うわ。貴方を永劫に許さない。償って欲しいだけよ。」
「関係ないひとを巻き込むな。」