月の綺麗な夜に
1節:ほふく前進
人は生まれて来た瞬間から何かしらの使命を持っているらしい。
いかにも偽善者っぽい小学校の頃の担任の先生がそんな事言っていた。
「なら私の生きる意味は何なん?」
春独特の陽気が久しぶりの制服には暑くて、そんな独り言を呟きながら太陽を睨んだ。
憂鬱な事に今日から学校。ついに私は高校三年生になる。
なのに、誰しもが持ってるはずの生きる意味なんてみつけられないでいるし、ましてや生きる事が楽しいなんて思うことも出来ないでいる。
もういっそのこと誰かが私を殺してくれたらいいのに。
自ら命を断つほどの勇気もない私を突然刺し殺してくれたらいい。
陰気な考えばかりが、下らない思考回路を巡り巡る。
暑さに思考回路なんて溶けてしまえば、こんな陰気なことばかり考えなくてもすむのに。