きみが教えてくれた夏
「そうだ、未来。未来は夏休みの間はここに居るんだろ?よかったらお前にここの色々な場所、色々な食べ物、遊び教えてやるから俺と会ってくれねえかぁ?」



またにこにこ笑いながら。
私に手を差し出してくれた。
こんがり焼けた黒い肌、大きな手。


どうしたらいいか分からない。
こんな男の子は初めてだから。
こんな風に私に興味を持ってくれる男の子なんて。 


会うということは外に出なくてはならないという事になる。
外は溶けてしまいそうなくらいに暑い。
少しばかり躊躇してしまった。


だけど。



私はその大きな手に自らの小さな手を重ねた。



そしたら。



海音はぎゅって私の手を握り返してくれたんだ。



「なら、明日。この先の角を曲がったとこにあるでけぇ木の下で待ち合わせな!未来が知らない場所へ連れってやっから」



ピースサインをしながら悪戯っ子の様に微笑む海音。


私もお返しのつもりでピースサインをした。
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