きみが教えてくれた夏
「いやいや無理でしょ。…まぁ、海音がそこまで言うなら好きにしたらいいけど」



つんと少し冷たく言い放す。
だけど、海音は感嘆の声を上げる。



「本当かぁ?おぉ、なら未来に好きになってもらえるように俺も頑張る」



海音の気持ちが弾んだからか自転車の速度も上がっていく。


この人は犬みたいだ。
尻尾を振ってついてくる犬みたい。



「スピード出しすぎだって」



そう注意する私もどこか楽しんでいて。
二人を乗せた自転車はがたんがたんと音をたてながら進んでいく。


まだ知らない場所へと。
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