きみが教えてくれた夏
がたん。


がたん。



「未来、着いたぞ」



自転車のスピードが落ちて止まった。
私はその光景を目の当たりにすると自然と頬の筋肉が緩むのを感じた。


そこに広がっていたのは綺麗なんて言葉じゃ足りない。
それはもう、童話にでも出てきそうな湖だった。



「うわぁ…綺麗…」



私の口から思わずため息が漏れる。
だって、東京にはいや、どこを探してもこんな綺麗な湖は他にあるだろうか。


私は一歩、また一歩。
湖の方へと歩み寄る。
大きな湖。
どこまででも続きそうな湖。


私は今まで何を見て綺麗だと言っていたのか全く分からない。


透き通るような水色。
魚が泳ぐ姿すら目で確認が出来る。


きらきら。

ゆらゆら。


陽炎とは違って幻想的な美しさと優雅さを醸し出している。
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