きみが教えてくれた夏
ぱしゃっ。


勢い良く顔面にかかる。
その水は私が着ているTシャツとスカートも濡らした。



「〜っ……やったわねぇぇえー!」



私はブルブルと体を震わして水を払うと流石に飛び込みはしないが浅瀬に足を踏み入れた。


そして、水を掬うと思いっきり海音目がけてかける。



ばしゃっ。


びちゃびちゃ。



私の攻撃は見事にヒットして海音のTシャツの色を変える。



「おぉ、やったなぁ〜っ!」



海音は更に水を掬い私にかけようとする。
負けるものか、と私も対抗を試みる。



ばしゃっ。


びちゃびちゃ。


ばしゃばしゃ。



黄色い声が飛び交う。
こんな風に誰かと水遊びをするのは随分と久しぶりだ。


最後に水遊びをしたのはいつだっけ?
思い出そうとするけど止めた。
今は目の前から飛んでくる攻撃を避けることで精一杯だ。



「未来、まだまだいくぞぉ〜っ!」



海音がまた水をかけてくる。
無邪気な子供みたいに。
いや、まぁ、事実なのだが。


だけどそんな海音の誘いに乗って楽しんでいる私の方が子供なのかも知れない。



「大丈夫!絶対びしょ濡れにしてやるんだからね!」



気づけば私も夢中になっていた。
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