きみが教えてくれた夏
「さてと、だいぶ濡れたし未来に風邪を引かせるのも悪いから帰るかぁ」



にこにこ。 
そう言うと自転車に股がる。



「帰るぞー、未来」



こんなやり取り、幼馴染みとかドラマとかでしか見たことがなかった。


海音は当たり前のように早く、早くと手招きしながら私の名前を呼ぶ。



「うん…!」



私も少し大きな服を身に纏い走りにくいけど出来るだけ急いだ。


そして海音の後ろへ股がる。
また、手を回す。



「よーし、帰りも頑張って漕ぐぞぉ!」



なまった言葉ももう慣れっこ。



がたん、がたん。
ゆっくり、ゆっくり。
また、自転車が動き出した。
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