きみが教えてくれた夏
私はそれから一言も話さないつもりだった。
だけど海音がいくつも質問を投げかけてくるから口を開く。



「未来は何色が好きだ?」



とか。



「スイカとメロンはどっちが好きだ?」



とか。



質問は全部どうだっていい内容。
こんなことを聞いてなんの得があるのだろうか。


ハテナマークを浮かべる私とは逆に海音は鼻歌なんか歌っちゃってる。




キキィッ!




自転車が急に停止した。
油断していた私は勢い良く海音の背中にぶつかってしまった。



「…〜っ…な、なんなのっ!?」



私が顔を上げると海音が私の目を手で塞いできた。


なんなんだよ、一体。
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