きみが教えてくれた夏
「嫌だよ。外の方が暑いじゃん!」



ちらり。
おばあちゃんが洗濯物を干している場所は地面がじりじりと焼けて、今にも音がしそうだった。



うわぁ、あんなとこ歩いたら溶けちゃうよ。



「未来ちゃん、案外ねお外の方が涼しかったりするんだよ」



「え〜…」



嘘だろ。
そんな訳があるか。


おばあちゃんはそんな私の気持ちを見透かすようにカラカラと笑う。



「そうだ、なら、美味しいスイカを取ってきてくれないかい?」



「スイカ?」



私が首を傾げるとおばあちゃんは洗濯物を干す手を止め、縁側に置いてある大きなバケツを持ってきた。



「この先の川にスイカが冷やしてあるからこのバケツに入れて持ってきてくれないかい?冷たくて美味しいよ」



スイカかぁ…。


確かにこんな田舎にコンビニは無い。
だとしたらアイスもかき氷も買えない。



「分かった、いいよ」



私は苦笑いを浮かべておばあちゃんからバケツを受け取った。
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