きみが教えてくれた夏
サザザァーッ。



スピードが落ちてきた。
草の擦れる音も次第に小さくなる。



ザザッ。



ダンボールは平らになった草っぱらの上で止まった。




「ぷはぁ…つ、疲れたぁ」



風で乱れた前髪を直しながら大きく息を吐いた。


隣にはカラカラ乾いた笑いを浮かべる海音がいた。



「俺の勝ちだなぁ。でも初めてにしちゃあよお頑張ったわ」



悔しい。
海音に負けると胸の中にモヤモヤと霧がかかって面白くない。


私が拗ねた顔をすると海音は頭を撫でてくれる。


そんなとこがまた悔しくて堪らず。



「もう一回勝負よ!」



なんてまた、私の方が夢中になってしまうんだ。
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