きみが教えてくれた夏
「未来、どうかしたか?」



ちらちら。

海のように深い瞳に私の気持ちを見透かされるような気がして、また恥ずかしくなるんだ。



「勝ったのに嬉しそうじゃないじゃないかぁ」



あたふたする心臓なんか知らない海音は呑気に私のことを見てきて。



「嬉しいよ?すっごく…!ただ、なんか…う〜ん…うまく言えないや」



まだこの気持ちは言葉にできない。
未完成なんだ。
不鮮明なんだ。


なのにそんなことも分かっているかのように海音は無理に返事を求めなかった。
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