続・祈りのいらない世界で
◆エピローグ◆男3人、女2人
婚姻届に書き込んだ
北山 祈
清田 美月
2つの名前。
「げへへへっ」
「気色わりぃ笑い方すんな」
先程から婚姻届に並ぶ2人の名前を見てはニヤニヤしているキヨ。
「ねっ!!ねっ!!この婚姻届コピーして額縁に飾ろうよ」
「は?バカ言うな」
「だって提出しちゃったら手元からなくなっちゃう。婚姻届なんてもう二度と見れないよ?」
「一度きりしかないから大切だと思えるんだろ。何でも形にしたがるな」
言い方は素っ気ないけど、愛のこもったイノリの言葉。
キヨはイノリに微笑むと、突き抜ける程の青い空を見上げた。
「…ふふふふふ」
我慢してもつい漏れてしまう笑い声。
「いつまで笑ってんだよ!」
「だって、イノリ大好きなんだもん」
そう言ったらイノリは
「…じゃあ笑っとけ」
と言って笑った。
キヨが握り締めていた為、少しクシャクシャになってしまった婚姻届は無事に受理され
キヨは北山美月になった。
ケン、カンナ、カゼ。
私とイノリは無事に夫婦になったよ。
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