続・祈りのいらない世界で
「…っ!!ダメぇっ!!」



キヨは勢いよく繋いでいる2人の手を離す。


その衝撃でキヨの爪が沙織の手に刺さり、沙織の手から血が滲み出した。




「痛ーいっ!!何するのよバカ!!」

「いっ…イノリは私のだもん!!手繋いじゃダメ!!」



キヨがそう言うと、沙織はキヨを突き飛ばしイノリに抱きついた。




「…知らないの?イトコ同士は結婚出来るんだよ。だから私、祈と結婚するの」

「結婚?」

「そうよ。それとね、祈は私と一緒に住むのよ。だからあんたの前から祈はいなくなるのよ」



沙織の言葉を聞いたキヨは沙織に噛みついた。




「わーっ!!キヨ、噛んじゃダメだよっ!!」



4人が沙織からキヨを引き離すと、沙織は大声で泣き出した。


イノリはキヨの歯型がついた沙織の腕をさすりながら、キヨを睨んだ。




「キヨ、いくらなんでもやり過ぎだ。沙織に謝れ」

「…なんで!?私だって沙織ちゃんに酷いこと言われたのに、何で私だけが謝らなくちゃならないの?」

「いいから謝れ」



キヨが首を振ると、イノリは沙織を連れて家へと向かった。


キヨは咄嗟にイノリに駆け寄り、イノリの服の裾を掴んだ。




「ひっ…行かないでイノリ。行っちゃやだぁ…」



キヨが泣きながらイノリの服を引っ張ると、イノリはキヨの手を無理矢理振り払った。




「悪い事したのに謝らないヤツなんて嫌いだ。ついてくんな」



イノリに睨まれたキヨは、被っていた麦わら帽子をイノリに投げつけた。



「イノリのバカ!!大っ嫌い!!イノリなんかどっか行っちゃえ!!イノリなんかっ…死んじゃえばいいっ!!!!」



キヨはそう叫ぶと、そのまま何処かへ走り去ってしまった。
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