続・祈りのいらない世界で
5人がそのまま歩いていると、強い風と共に土砂降りの雨が降ってきた。



「ぎゃああっ!!降ってきちゃったよ!!雨痛いっ」

「カゼのてるてる坊主意味ねぇじゃん!!」

「………なんでだろう」

「帰りましょうか。雨も降ってきたし、虹も消えちゃったから」



カンナの意見に頷くキヨ、イノリ、カゼ。


するとケンが駄々をこね始めた。




「やだやだ!!折角ここまで来たんだよ?まだ帰りたくない!!」

「ワガママ言わないの!!もう虹見えなくなったんだから、根っこ見つからないわよ」



ケンを叱るカンナを置いて歩き出す3人。




「イノリ、カンナとケン置いて来ちゃっていいの?」

「大丈夫。ケンはカンナには適わねぇからすぐ来るよ」



イノリと手を繋いでいるキヨは、何度も後ろを振り返り2人の様子を窺っていた。


すると隣りにいるカゼが棒読みで歌を歌い始めた。




「………てるてる坊主、てる坊主。あーした天気にしておくれ」

「カゼ、お前歌うならもう少し楽しそうに歌えよ」



3人が話していると、ケンの腕を引っ張ったカンナがやって来た。

ケンは引きづられている。




「ケン!いい加減にしなさいよね!!叩くわよ!?」

「うぅっ…カンナの鬼!!虹の根っこ〜…」



泣き喚くケンを見たキヨは、イノリと手を離し何処かに駆けていった。




「あ?キヨ?」



4人が不思議そうな表情でキヨを見ると、キヨは両手を重ねた恰好で戻ってきた。



「ケン、手出して」

「ぐすんっ…何?キヨ」



ケンが片手をキヨに突き出すと、キヨはケンの手のひらに手を重ねた。



キヨがゆっくり手を離すと、ケンの手のひらには一匹の小さな蛙が乗っていた。




「わっ!!蛙だ♪」

「ケンのレインコートと同じ色の蛙だよ。元気出た?」



キヨがケンに問うと、ケンは嬉しそうに頷いた。
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