続・祈りのいらない世界で

13・おままごとの終わり

“ずっと一緒”

それはそんなに難しい事なのかな?




物心ついた頃から今まで
こうして一緒にいるのに




私達はいつだって

別れと隣り合わせの日々を過ごしている。








主婦であり妊婦であるキヨ。


イノリとケンは仕事で、カンナはパート。

唯一相手をしてくれるフウが昼寝をしている間は暇で仕方なかった。




「昼間はテレビもつまんないし、雑誌を読んでると服買いに行きたくなるし…。私は何をすればいいの?最近CMでよくやってる資格の勉強でもしようかな。でも資格取っても使い道がないからお金の無駄か」



学生時代に戻りたい。


ただ何もしない時間が流れていたとしても、5人でいるだけで楽しかった。

そんなあの頃に戻れたらいいのに…。



そしたらカゼにもまた会える。




「…なーんて、無理無謀な事を考えても仕方ないか」



暇に耐えられないキヨは携帯を手に取ると、イノリにメールを打った。



『イノリ〜(*^∀^*)お疲れ様。今日晩御飯、何食べたい?』



メールを送信したキヨだが中々返事が返ってこない。


もちろん仕事をしているイノリから返ってくるワケはない。




しかし暇で仕方ないキヨは、メールを送り続けた。



『イノリってば!!暇なの。相手してくれなきゃ外出しちゃうんだからね(`Д´*)』


『今日は何時頃帰ってくるの?』


『子供の名前、何にしようか?私とイノリに似た名前にする?それとも、今流行りの珍しい名前にする?(≧∀≦)』



色々と送るキヨだが、一向に返事は来ない。



虚しさが込み上げてきたキヨは、ソファに携帯を投げるとフウの横に寝そべった。




フウはお日様の匂いがする。

その赤ちゃん特有の匂いを嗅いでいると、ソファの上に投げた携帯が鳴った。
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