続・祈りのいらない世界で
「…ん」
キヨが目を覚ますと、キヨの手を握り締めながら俯くイノリがいた。
「イノリ…。ごめんね、イノリの気持ち考えないで。私がイノリの立場だったら辛い。イノリが他の女の子の話ばっかりしたら嫌だもん…。そんな事も気が付かなくてごめんなさい…」
「違う。お前は悪くない。カゼは俺らにとって大切な存在なんだから、お前が大切にするのなんて当たり前の事なのに…酷い事言ったよな」
イノリはそう言うとキヨの手首を見つめた。
あの頃に比べ、薄くはなったがキヨが刻んだ傷跡はまだ手首に残っていた。
「お前はこんな事する程、俺を想ってくれてるのに…。ごめんな」
「ううん。大丈夫。私、イノリが怒るの結構好きだから」
「俺はこの性格が嫌いだ。…自分に余裕がない。もっと大人の男になりてぇよ」
イノリが複雑な表情をすると、キヨは首を振った。
「イノリが私に変わらなくていいって想ってくれているように、私もイノリに変わらないで欲しい。私が好きなのは今のままのイノリなんだから、変わる必要なんてないんだよ?」
あぁ…
美月はどうしてたまにこう強くなるのだろうか。
いつもはただの子どもみたいな泣き虫で甘ったれな女の子なのに…
何だかんだで美月は
俺なんかよりもずっと強いんだな
「…美月、好きだよ」
「ふふっ。素直なイノリ気持ち悪い♪」
「はぁ!?失礼な奴だな!!人が折角好きだって言ってやったのに。もう言わねぇぞ!?」
「それは嫌!!」
イノリはキヨが自殺行為をした傷跡を見るのが嫌だった。
自分の不甲斐なさと後悔、罪悪感
そしてキヨが死んでしまっていたかもしれないと想うと込み上げてくる喪失感と恐怖。
だから見たくなかった。
早く消えてほしかった。
でも今は…
キヨがどれだけ自分を愛してくれているかがわかるこの印に、消えないで欲しいと思った。
キヨが目を覚ますと、キヨの手を握り締めながら俯くイノリがいた。
「イノリ…。ごめんね、イノリの気持ち考えないで。私がイノリの立場だったら辛い。イノリが他の女の子の話ばっかりしたら嫌だもん…。そんな事も気が付かなくてごめんなさい…」
「違う。お前は悪くない。カゼは俺らにとって大切な存在なんだから、お前が大切にするのなんて当たり前の事なのに…酷い事言ったよな」
イノリはそう言うとキヨの手首を見つめた。
あの頃に比べ、薄くはなったがキヨが刻んだ傷跡はまだ手首に残っていた。
「お前はこんな事する程、俺を想ってくれてるのに…。ごめんな」
「ううん。大丈夫。私、イノリが怒るの結構好きだから」
「俺はこの性格が嫌いだ。…自分に余裕がない。もっと大人の男になりてぇよ」
イノリが複雑な表情をすると、キヨは首を振った。
「イノリが私に変わらなくていいって想ってくれているように、私もイノリに変わらないで欲しい。私が好きなのは今のままのイノリなんだから、変わる必要なんてないんだよ?」
あぁ…
美月はどうしてたまにこう強くなるのだろうか。
いつもはただの子どもみたいな泣き虫で甘ったれな女の子なのに…
何だかんだで美月は
俺なんかよりもずっと強いんだな
「…美月、好きだよ」
「ふふっ。素直なイノリ気持ち悪い♪」
「はぁ!?失礼な奴だな!!人が折角好きだって言ってやったのに。もう言わねぇぞ!?」
「それは嫌!!」
イノリはキヨが自殺行為をした傷跡を見るのが嫌だった。
自分の不甲斐なさと後悔、罪悪感
そしてキヨが死んでしまっていたかもしれないと想うと込み上げてくる喪失感と恐怖。
だから見たくなかった。
早く消えてほしかった。
でも今は…
キヨがどれだけ自分を愛してくれているかがわかるこの印に、消えないで欲しいと思った。