続・祈りのいらない世界で

14・運命という言葉

ある日の休日。

キヨはイノリとフウと地元へと帰省していた。




「おい、美月。つわりは大丈夫なのか？」



イノリが助手席に座っているキヨに話し掛けると、キヨはヨダレを垂らして眠っていた。


後部座席からは、チャイルドシートに座っているフウの鼻息がピーピーと聞こえる。



「…ふっ。美月とフウは兄弟みたいだな」





キヨとイノリが地元に帰ろうと思ったワケは…


「ねぇイノリ、今度の休み私達だけで地元帰らない？」

「地元？何だよ、いきなり」



ケンとカンナの一件があってから、キヨは自分に何が出来るのかをずっと考えていた。


あれから、話をしている２人を見なくなった上にカンナはフウにも構わなくなってしまったのだった。




「ケンとカンナを２人にしてあげたら何か変わるかな？って思って」

「そうだな。試しに２人きりにしてみるか」



ピリピリした家の空気に居心地の悪さを感じているのは、イノリも同じ。



キヨとイノリは、ケンとカンナにちゃんと向き合って欲しいと思い、２人にしたのだった。
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