続・祈りのいらない世界で
4・同じ思い出
結婚してから少し経った頃。
キヨとイノリは連休の為、地元に帰ってきていた。
イノリは実家に親類が遊びに来ているという事で挨拶をしていた。
その間暇なキヨは1人、カゼのお墓へと足を運んだ。
「カゼ、久しぶり。寂しくなかった?」
キヨは花を飾り、お菓子を供えると墓の前に屈んだ。
線香の香りを風が運ぶ。
「カゼ…。私、フウを見てるとね子ども欲しいなぁって思うんだ。でも私は…カゼとの命を殺してしまった。そんな私が命を授かる資格なんかあるのかな?…どう思う?カゼ…」
カゼの返答など返ってくるはずがない。
あんなにそばで欲しい言葉を囁いてくれていたカゼはもういない。
「答えて…。教えてよっ。いつものように私が望む言葉を呟いてよ、カゼっ…」
キヨは風の吹く音しか聞こえないカゼの墓の前で涙を流した。
暫くしてキヨが家に帰ると、丁度イノリが家から出てきた。
「イノリっ♪」
「おっ。わりぃな、1人にして。お前もいればよかったのに。もう北山の人間なんだから。伯父たちが会いたがってたぜ」
「ううん、いいの。緊張するから」
キヨはイノリに抱きつくと、イノリの胸に頬擦りをした。
「…あれ。美月、ネックレスは?」
「え?」
いつもキヨを抱きしめる時、ネックレスが腹にあたる感触のするイノリ。
しかし、今日はしなかった。
キヨが胸元を見ると、いつも身に付けているネックレスが掛かっていない
外した記憶はない。
「今日っ…1人でカゼのお墓行ってきたの。その時落としちゃったのかな?紐…ボロボロだったし」
キヨはイノリから離れると、青ざめながらお寺までの道のりを走っていった。
イノリはキヨの後を追う。
キヨとイノリは連休の為、地元に帰ってきていた。
イノリは実家に親類が遊びに来ているという事で挨拶をしていた。
その間暇なキヨは1人、カゼのお墓へと足を運んだ。
「カゼ、久しぶり。寂しくなかった?」
キヨは花を飾り、お菓子を供えると墓の前に屈んだ。
線香の香りを風が運ぶ。
「カゼ…。私、フウを見てるとね子ども欲しいなぁって思うんだ。でも私は…カゼとの命を殺してしまった。そんな私が命を授かる資格なんかあるのかな?…どう思う?カゼ…」
カゼの返答など返ってくるはずがない。
あんなにそばで欲しい言葉を囁いてくれていたカゼはもういない。
「答えて…。教えてよっ。いつものように私が望む言葉を呟いてよ、カゼっ…」
キヨは風の吹く音しか聞こえないカゼの墓の前で涙を流した。
暫くしてキヨが家に帰ると、丁度イノリが家から出てきた。
「イノリっ♪」
「おっ。わりぃな、1人にして。お前もいればよかったのに。もう北山の人間なんだから。伯父たちが会いたがってたぜ」
「ううん、いいの。緊張するから」
キヨはイノリに抱きつくと、イノリの胸に頬擦りをした。
「…あれ。美月、ネックレスは?」
「え?」
いつもキヨを抱きしめる時、ネックレスが腹にあたる感触のするイノリ。
しかし、今日はしなかった。
キヨが胸元を見ると、いつも身に付けているネックレスが掛かっていない
外した記憶はない。
「今日っ…1人でカゼのお墓行ってきたの。その時落としちゃったのかな?紐…ボロボロだったし」
キヨはイノリから離れると、青ざめながらお寺までの道のりを走っていった。
イノリはキヨの後を追う。