続・祈りのいらない世界で
「…仕事をしてるから仕方ないのよ。キヨが見ててくれるから大丈夫」
「大丈夫じゃねぇよ。美月は妊婦なんだぞ!?今だってつわりや頭痛で苦しんでんのに。今日だって眩暈で倒れたくらいだ。…そんな美月1人に家事も育児も押し付けて、何とも思わねぇのかよ!!」
カンナは何の反応もしない。
「お前、母親だろ?フウの母親は美月じゃねぇんだ」
「キヨが母親の方がフウも喜ぶわ。キヨは私と違って優しくて…愛されてるもの…」
カンナはドレッサーの前で化粧を落としながら呟く。
凛とした誇り高いカンナはそこにはいない。
「恋愛くらいでへこたれて育児放棄をするカンナを、ケンは選んだりしねぇぞ。ケンが何で美月を好きになったかわかるなら、カンナが今どうするべきかわかるだろ?」
「イノリはキヨが好きだからそんな事言えるのよ!!イノリに私の気持ちなんかわからないわ」
カンナはイノリに化粧ポーチを投げる。
「…今のカンナをカゼが見たらどう思うんだろうな」
「全部カゼのせいよ。カゼがいないからいけないのよ…」
「カゼを責めるな。ぶん殴るぞ」
イノリはカンナを睨みつけると、カンナの部屋から出て行った。
イノリが自室に入ろうとすると、部屋から出てきたキヨがイノリに駆け寄ってきた。
「まだ起きてたのか」
「…イノリ。今はカンナを責めちゃダメだよ。…カンナは強いけど、その分無理をしてきたから今荒れてるの。今のカンナには優しさも厳しさも全て無意味なんだよ。
それに私なら大丈夫。家事もフウの事も全然苦痛じゃないよ?」
キヨは悲しそうな目でイノリを見上げる。
「…美月は泣き虫で甘ったれだけど、ちゃんと人を見てるよな。優し過ぎんだよ、お前は。
まぁ…そこが好きなんだけど」
イノリはキヨを抱っこすると、自分の部屋に入った。
「一緒に寝るか」
「うん♪」
キヨはイノリの腕に包まれて、眠りに落ちた。
自分が幸せな分
大切な人達も幸せであって欲しい。
そんな事を願いながら、キヨは幸せな夢を見ていた。
「大丈夫じゃねぇよ。美月は妊婦なんだぞ!?今だってつわりや頭痛で苦しんでんのに。今日だって眩暈で倒れたくらいだ。…そんな美月1人に家事も育児も押し付けて、何とも思わねぇのかよ!!」
カンナは何の反応もしない。
「お前、母親だろ?フウの母親は美月じゃねぇんだ」
「キヨが母親の方がフウも喜ぶわ。キヨは私と違って優しくて…愛されてるもの…」
カンナはドレッサーの前で化粧を落としながら呟く。
凛とした誇り高いカンナはそこにはいない。
「恋愛くらいでへこたれて育児放棄をするカンナを、ケンは選んだりしねぇぞ。ケンが何で美月を好きになったかわかるなら、カンナが今どうするべきかわかるだろ?」
「イノリはキヨが好きだからそんな事言えるのよ!!イノリに私の気持ちなんかわからないわ」
カンナはイノリに化粧ポーチを投げる。
「…今のカンナをカゼが見たらどう思うんだろうな」
「全部カゼのせいよ。カゼがいないからいけないのよ…」
「カゼを責めるな。ぶん殴るぞ」
イノリはカンナを睨みつけると、カンナの部屋から出て行った。
イノリが自室に入ろうとすると、部屋から出てきたキヨがイノリに駆け寄ってきた。
「まだ起きてたのか」
「…イノリ。今はカンナを責めちゃダメだよ。…カンナは強いけど、その分無理をしてきたから今荒れてるの。今のカンナには優しさも厳しさも全て無意味なんだよ。
それに私なら大丈夫。家事もフウの事も全然苦痛じゃないよ?」
キヨは悲しそうな目でイノリを見上げる。
「…美月は泣き虫で甘ったれだけど、ちゃんと人を見てるよな。優し過ぎんだよ、お前は。
まぁ…そこが好きなんだけど」
イノリはキヨを抱っこすると、自分の部屋に入った。
「一緒に寝るか」
「うん♪」
キヨはイノリの腕に包まれて、眠りに落ちた。
自分が幸せな分
大切な人達も幸せであって欲しい。
そんな事を願いながら、キヨは幸せな夢を見ていた。