続・祈りのいらない世界で
「……きよ」

「ん?どうしたの?」



フウはソファに座るキヨの足をつつく。




「……ふう、しゅちー?」

「え?」

「……きよ、ふう、しゅちー?」



フウはジッとキヨを見つめる。

何だか少し寂しそうな目をするフウ。




「うん。キヨはフウ大好きだよ。でもいきなりどうしたの?」

「…………」


フウは何も答えない。



もしかしたら、キヨが自分の子どもを愛しそうに見ていたから嫉妬をしたのか、寂しくなったのかもしれない。


自惚れかもしれないけれど…。




「フウ。寂しがらなくていいんだよ?私はずっとフウといるからね」



キヨがフウを抱っこすると、フウはキヨに頭を擦り付けた。




「………まーま」



ポツリと呟いたフウの言葉にキヨは泣きたくなった。




まだ2歳に満たないフウが母親を恋しがるのは当たり前のこと。


でもその母親がそばにいてはくれない。

父親もいないフウは、きっと寂しくて仕方ないのだ。





「…私もフウのママになってあげたいよ。フウのママになりたいっ…」

「……まーま」




キヨはイノリが帰宅するまで、ずっとフウを抱きしめていた。
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