続・祈りのいらない世界で
「…今日は私は抱っこしないよ。フウはちゃんとママといなさい。…行こう、イノリ」
キヨはフウから目を反らすと、カゼのお墓に向かって歩き出す。
イノリは車に鍵を掛けるとキヨの後を追った。
遠くからは大声で泣いているフウの声が聞こえる。
「…おい、美月。いいのかよ」
「いいの。私は本当のママじゃないもの」
「じゃあ何で泣いてんだよ」
イノリの言葉に、自分が涙を流している事に気付いたキヨ。
悲しいワケではない。
フウに申し訳ないと思っているワケでもない。
「フウが甘えたいのはお前なんだ。何も気にせずお前も甘やかせてやればいい」
「だって…!!カンナの顔見たでしょ!?あんな顔見ちゃったら、母親ぶったりなんか出来ないよ!!私はフウのママじゃない。いつか…フウはカンナの元に行ってしまう。そしたら私はどうなるの!?だからだよ!!」
泣きながらイノリを睨むキヨ。
フウに本当の母親を教える為じゃない。
カンナに悲しんで欲しくないからじゃない。
自分が傷つきたくないから、フウを突き放しただけ。
傷付きたくないから自分を守る私は、ただの偽善者だ。
そんな事を思いながら俯くキヨをイノリは優しく抱きしめた。
「バカだな。フウの母親になれなくたって、お前はもうすぐ本当の母親になれるだろ。
それに今ぐらいいいじゃねぇか、母親ぶったって。いつか本当の母親に気付いたとしても、今のフウにとっての母親は美月なんだ。そんなに泣くくらい辛い想いをしながら無理に突き放す必要はねぇよ」
「…っ…。イノリ…」
「お前は何でそんな風に自分を傷付けるかな。もっと自分の気持ちに正直になれ。わかったな?」
イノリがぐりぐりとキヨの頭を撫でていると、後ろからトテトテと小さな足音が聞こえた。
2人が振り向くと、ほっぺたに涙の跡が残る真っ赤な顔をしたフウが立っていた。
「フウ…」
「………ふう、ままとぽっぽ(散歩)しゅる」
フウはキヨの服をクイクイと引っ張りながらキヨの顔を見上げる。
キヨはフウから目を反らすと、カゼのお墓に向かって歩き出す。
イノリは車に鍵を掛けるとキヨの後を追った。
遠くからは大声で泣いているフウの声が聞こえる。
「…おい、美月。いいのかよ」
「いいの。私は本当のママじゃないもの」
「じゃあ何で泣いてんだよ」
イノリの言葉に、自分が涙を流している事に気付いたキヨ。
悲しいワケではない。
フウに申し訳ないと思っているワケでもない。
「フウが甘えたいのはお前なんだ。何も気にせずお前も甘やかせてやればいい」
「だって…!!カンナの顔見たでしょ!?あんな顔見ちゃったら、母親ぶったりなんか出来ないよ!!私はフウのママじゃない。いつか…フウはカンナの元に行ってしまう。そしたら私はどうなるの!?だからだよ!!」
泣きながらイノリを睨むキヨ。
フウに本当の母親を教える為じゃない。
カンナに悲しんで欲しくないからじゃない。
自分が傷つきたくないから、フウを突き放しただけ。
傷付きたくないから自分を守る私は、ただの偽善者だ。
そんな事を思いながら俯くキヨをイノリは優しく抱きしめた。
「バカだな。フウの母親になれなくたって、お前はもうすぐ本当の母親になれるだろ。
それに今ぐらいいいじゃねぇか、母親ぶったって。いつか本当の母親に気付いたとしても、今のフウにとっての母親は美月なんだ。そんなに泣くくらい辛い想いをしながら無理に突き放す必要はねぇよ」
「…っ…。イノリ…」
「お前は何でそんな風に自分を傷付けるかな。もっと自分の気持ちに正直になれ。わかったな?」
イノリがぐりぐりとキヨの頭を撫でていると、後ろからトテトテと小さな足音が聞こえた。
2人が振り向くと、ほっぺたに涙の跡が残る真っ赤な顔をしたフウが立っていた。
「フウ…」
「………ふう、ままとぽっぽ(散歩)しゅる」
フウはキヨの服をクイクイと引っ張りながらキヨの顔を見上げる。