続・祈りのいらない世界で
「…なぁ、美月。俺は嘘をつくべきじゃなかったのかな。…カゼの事をあいつらに伝えて、全員でここに来るべきだったか?」



白い息を吐くイノリは、お酒のせいで潤んでいる瞳をキヨに向ける。




「ううん。イノリは正しかったと思うよ。イノリの優しい嘘はみんなを救ったはずだもの」


「本当にそう思うか?」


「うん。だって、私は救われたもん。…それにカゼは死んだんじゃない。眠ってるだけ。カゼは寝ぼすけさんだからね」



キヨがイノリの頭を撫でると、それが不服だったのかイノリは頭を振りキヨを胸に引き寄せた。


白い息が澄んだ夜空に昇る。



キヨはお酒の匂いがするイノリの胸にうずめていた顔を空に向けると、視界に満天の星が映った。




東京の空では見る事の出来ない星々。


あの頃いつも5人で見ていた空。
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