続・祈りのいらない世界で
「じゃあスーパー行くぞ。ケン、運転しろ」

「みんなで歩いて行こうよ」

「こんな寒い中歩いて行くのか!?」

「だって吐く息が白いの好きなんだもん」



コートを羽織って玄関に向かうキヨに渋々ついて行く4人。


地元と違って滅多に雪の降らない東京の冬は、空っ風のせいで体が凍てつく。




「見て見て、イノリ。息真っ白けだよ」

「冬なんだから珍しくも何ともねぇだろ!!ガキかお前は」

「どうせ子どもですよーだ!!…それより雪降ればいいのにね。つまんないの」



ネオンの光に消され、薄くなった星を眺めながらボヤくキヨ。


そんなキヨを見てイノリ達は微笑んでいた。





暫くしてスーパーに着いた5人。


キヨは片手でカートを押しながらイノリのコートの裾を掴む。



「お肉と野菜だよね。買わないといけないのは」

「あぁ。今日はもう何の鍋でもいいや」

「そうね。言い争う力もないわ」

「俺も〜。…てかカゼは?いなくなっちゃったよ」



4人の後ろにいたはずのカゼがいない事に気付いたケンは、カンナと共にカゼを捜しに向かった。




「肉は鶏肉でいいよな、安いし。肉団子も買うか」



2人きりになったイノリとキヨ。


キヨは商品を手にとって見比べているイノリを見て、何だか幸せな気分になった。




「2人でスーパーにいると私達、夫婦みたいだね♪」

「…俺は料理が出来ねぇ嫁は貰わねぇぞ」

「失礼ね!!料理くらい出来るわよ!!」

「キヨの飯は飯じゃねぇよ」



騒ぎながらど突き合っている2人の元に、両手いっぱいのお菓子を抱えたカゼがやって来た。
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