続・祈りのいらない世界で
「イノリ、子どもが欲しいんじゃないかしら?」
「へっ?子ども!?」
キヨは声が裏返る。
「フウをあやしてるイノリを見てそう思ったのよ。でもイノリの性格からして、子どもにキヨを取られたくはないんだと思う。だから葛藤と闘ってるのよ、きっと」
「子どもかぁ。欲しいし、子どもがいる家庭って憧れるけど、今は恐いかも…」
「恐い?出産が?」
「ううん。私、一度流産してるでしょ?だから恐い…。私に新しい命を産む権利なんかあるのかな…」
キヨがカゼの写真を見つめながらそう呟くと、リビングにやってきたイノリがキヨの頭をポンと叩いた。
「さっきは悪かったな。早く飯の用意しろ、腹減った」
カンナとの話を聞いていたのかいないのか、イノリは話に触れる事なくソファに腰掛けた。
カンナは2人に気を使ってリビングから出て行った。
「…最近何かあったの?」
「あ?別に何もねぇけど」
「そう?ならいいんだけど」
キヨは黙々とご飯を食べるイノリを見つめた。
フウを見ていると、子ども欲しいなぁって思う。
イノリとの大切な愛を形としてこの世に作りたいとも思う。
でも私は一度、お腹に宿った命を殺している。
愛していない人との命だからと、簡単に“いらない”と思った私が
愛する人との命だから産みたいと思ってもいいのかな?
…いいわけないよね。
キヨが顔を伏せていると、テレビを観ていたイノリが呟いた。
「この女優の髪型可愛くね?」
「へ?髪型?」
キヨがテレビに視線を移すと、今人気の女優が主演するドラマが放送されていた。
その女優の髪型はショートカット。
小さい頃から髪の長いキヨとは正反対。
「俺、ショート好きだな」
「…私、セミロングだけど?可愛くないって言いたいの!?」
「別にお前は何でもいいよ。ロングだろーが、坊主だろーが」
「坊主なんかにするワケないでしょ!?イノリなんか嫌いだっ!!」
キヨはイノリにクッションを投げると、自室へと向かった。
「へっ?子ども!?」
キヨは声が裏返る。
「フウをあやしてるイノリを見てそう思ったのよ。でもイノリの性格からして、子どもにキヨを取られたくはないんだと思う。だから葛藤と闘ってるのよ、きっと」
「子どもかぁ。欲しいし、子どもがいる家庭って憧れるけど、今は恐いかも…」
「恐い?出産が?」
「ううん。私、一度流産してるでしょ?だから恐い…。私に新しい命を産む権利なんかあるのかな…」
キヨがカゼの写真を見つめながらそう呟くと、リビングにやってきたイノリがキヨの頭をポンと叩いた。
「さっきは悪かったな。早く飯の用意しろ、腹減った」
カンナとの話を聞いていたのかいないのか、イノリは話に触れる事なくソファに腰掛けた。
カンナは2人に気を使ってリビングから出て行った。
「…最近何かあったの?」
「あ?別に何もねぇけど」
「そう?ならいいんだけど」
キヨは黙々とご飯を食べるイノリを見つめた。
フウを見ていると、子ども欲しいなぁって思う。
イノリとの大切な愛を形としてこの世に作りたいとも思う。
でも私は一度、お腹に宿った命を殺している。
愛していない人との命だからと、簡単に“いらない”と思った私が
愛する人との命だから産みたいと思ってもいいのかな?
…いいわけないよね。
キヨが顔を伏せていると、テレビを観ていたイノリが呟いた。
「この女優の髪型可愛くね?」
「へ?髪型?」
キヨがテレビに視線を移すと、今人気の女優が主演するドラマが放送されていた。
その女優の髪型はショートカット。
小さい頃から髪の長いキヨとは正反対。
「俺、ショート好きだな」
「…私、セミロングだけど?可愛くないって言いたいの!?」
「別にお前は何でもいいよ。ロングだろーが、坊主だろーが」
「坊主なんかにするワケないでしょ!?イノリなんか嫌いだっ!!」
キヨはイノリにクッションを投げると、自室へと向かった。