続・祈りのいらない世界で
21・赤い糸
大丈夫。
私はいつもあなたを困らせてばかりだけど
あなたの全てなら受け止める自信はあるよ。
だから強がらなくていいの。
弱さを見せるのは
カッコ悪くなんかないんだよ?
「キヨ、イノリは?」
フウが就寝し、静まり返ったリビングで洗い物をしているキヨに話し掛けるケン。
「今日は会社の忘年会だよ。だから帰ってくるのは夜中かな」
「忘年会かぁ。明日休みだし、忘年会のシーズンだもんな。…イノリもすっかり社会人だね」
洗い物を終えたキヨはケンに珈琲を淹れるとリビングに向かい、お腹にブランケットを掛けソファに座った。
「キヨ、もうすぐ7ヶ月だよね。早いなぁ」
「ねっ。ついこの間妊娠したかと思ったら、もうそんなになるんだね」
ケンはキヨのお腹を優しくさする。
「キヨそっくりの女の子生まれないかな。そしたら俺、イノリなんかよりも可愛がるのに。てか、キヨに似てたら結婚したくなっちゃうかも」
「あはは!やだ、24歳も歳離れてるんだよ?この子が結婚出来る年齢になったらケン、中年のおじさんだよ」
「愛に年齢は関係ないよ!ね、キヨ2号♪」
「キヨ2号って…。イノリは男の子だって言い張ってるよ?名前も考えてるみたいだけど、どんな名前考えてるのか教えてくれないんだよね」
何故か男の子が生まれると確信しているイノリ。
既に色々名前も考えているイノリだが、誰にも教えようとはしない。
「名前負けしない名前を考えてくれてるといいんだけど」
「イノリはセンスないからな。俺ならカッコいい名前考えるのに」
フウに“シド”やら“ジェシー”と付けようとしていたケンには言われたくない。