続・祈りのいらない世界で
山や田んぼ、河原や土手など静かで緑の多い地元とは全く違う風景の東京。
人々や車の喧騒、引き詰まった高い建物…
もちろん青空や星も見えるけど、空さえ狭い東京の街並み。
そんな風景の中でも目の前にあるのは変わらない広い背中。
変わっていく景色と共に変わってしまうと思っていた存在。
でも何ひとつ変わらなかった存在。
昨夜、キヨが変わってしまうのではないかという、キヨにとってはありえないイノリの心配も、キヨも同じような心配をした事がある。
でも、イノリのこの背中が変わらずこうしてここにあるように、キヨも変わらずここにいる。
「だから大丈夫だよ」
「あ?何か言ったか?」
「幸せだなって言ったの♪」
「は?何だって?」
「…イノリ、家帰ったら耳掃除した方がいいよ」
大丈夫。
何も変わらない。
この24年間、ずっと変わらずに来たものはこれからも何も変わらないよ。
キヨはイノリの背中に頬を寄せると、そう心の中で呟いた。
TSU○YAに着いた2人は店の中に入り、クリスマスソングコーナーの前で立ち止まった。
店内にも定番の曲から最新の曲まで様々なクリスマスソングが流れている。
「クリスマスって何歳になってもワクワクするよね」
「まぁな。もうサンタ役になる歳だけど」
「そうだね。もうフウがいるからサンタみたいなものだね」
散々店内をうろついた2人は、何枚かCDを借りて店から出た。
「そういえば、フウの枕元に置くプレゼント買わなくていいの?」
「まだ物心ついてねぇからいいんじゃねぇの?まだサンタがなんだかわかってねぇだろうし」
「そっか。…フウに便乗して私のも買って貰おうと思ったのに」
「お前はもうペアリング買ってやったんだからナシだ!」
「ケチ!!」
日が暮れるのが早い街並みは既に薄暗く、冬の冷たい風が吹いていた。
人々や車の喧騒、引き詰まった高い建物…
もちろん青空や星も見えるけど、空さえ狭い東京の街並み。
そんな風景の中でも目の前にあるのは変わらない広い背中。
変わっていく景色と共に変わってしまうと思っていた存在。
でも何ひとつ変わらなかった存在。
昨夜、キヨが変わってしまうのではないかという、キヨにとってはありえないイノリの心配も、キヨも同じような心配をした事がある。
でも、イノリのこの背中が変わらずこうしてここにあるように、キヨも変わらずここにいる。
「だから大丈夫だよ」
「あ?何か言ったか?」
「幸せだなって言ったの♪」
「は?何だって?」
「…イノリ、家帰ったら耳掃除した方がいいよ」
大丈夫。
何も変わらない。
この24年間、ずっと変わらずに来たものはこれからも何も変わらないよ。
キヨはイノリの背中に頬を寄せると、そう心の中で呟いた。
TSU○YAに着いた2人は店の中に入り、クリスマスソングコーナーの前で立ち止まった。
店内にも定番の曲から最新の曲まで様々なクリスマスソングが流れている。
「クリスマスって何歳になってもワクワクするよね」
「まぁな。もうサンタ役になる歳だけど」
「そうだね。もうフウがいるからサンタみたいなものだね」
散々店内をうろついた2人は、何枚かCDを借りて店から出た。
「そういえば、フウの枕元に置くプレゼント買わなくていいの?」
「まだ物心ついてねぇからいいんじゃねぇの?まだサンタがなんだかわかってねぇだろうし」
「そっか。…フウに便乗して私のも買って貰おうと思ったのに」
「お前はもうペアリング買ってやったんだからナシだ!」
「ケチ!!」
日が暮れるのが早い街並みは既に薄暗く、冬の冷たい風が吹いていた。