続・祈りのいらない世界で
その様子を見ていたフウはキヨの真似がしたいのか、寝ているイノリの髪を引っ張りイノリの額にキスをする。



「…!!!!フウ!?デコにヨダレつけるな!!」



イノリの額にキスをしていたフウは、その体勢のまま眠ってしまったらしく、イノリの額にヨダレを垂らしていた。



イノリがフウを一端退かして立ち上がると、フウは泣きながらお尻をピョコピョコ弾ましている。



「……うぇーん!!だっこ〜」

「はいはい、今抱っこしてやるよ」



そう言ってイノリが立ち上がると、弾んでいたフウも立ち上がり、イノリの大事な部分に思いっきり頭突きした。




「…ぐぁっ!!!!」

「へ?何、今の声!?」



夕食を作り終えたキヨが食事を運びながらリビングに向かうと


リビングには、うずくまりながら震えているイノリとその背中に乗って喜んでいるフウがいた。




「…?何やってんのよ」

「……フウに急所をやられた…」



暫くピクピク震えていたイノリは眉を寄せながらゆっくり起き上がり

右手でスプーンを持つがスプーンが震え、ご飯を口まで運べない。




「……食いづらい」



イノリはスプーンを床に投げると頭をかきむしった。




「そんなにイライラしないの。ほら、あーん」



甘えるのに慣れていないイノリは、少し抵抗しながらも渋々口を開けた。




「……まま、ふうもあーん」

「フウは自分でモグモグ出来るでしょ。イノリはいたい、いたいしてるから特別にあーんしてるの」

「……やーん。ねぐしぇ、ばか〜」



フウまでもスプーンを床に投げ捨て、テーブルに頭をゴンっ!!とつけるとぐずり出した。


キヨはフウを気にしながらイノリにご飯を食べさせると、フウの投げたスプーンを拾い、丸まっているフウを抱き上げた。




「はい。次はフウの番ね。ほら、あーんしてあげるからまんま食べようね」

「……うえーん、まま〜」

「はいはい、泣かないで。ちゃんとお椅子にえんちょ(お座り)しようね」



キヨはフウを椅子に座らせると、ご飯を食べさせた。
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