続・祈りのいらない世界で
忙しい夕食を終えたキヨは、イノリのお風呂の支度を始めた。


キヨはイノリの包帯とギブスを外し、ビニール袋を巻きつける。




「背中洗う時呼んでね?洗ってあげるから」

「…あぁ、わかった」



イノリをお風呂場に連れて行ったキヨはリビングに戻ると、昨日購入した本を見ながらフウの腕を借りて、ある練習を始めた。




暫くしてイノリに呼ばれたキヨはお風呂場に向かい、イノリの背中を洗い流した。


そのままイノリがお風呂から上がると、キヨはイノリの体をバスタオルで拭き服を着せる。




「よし、じゃあ包帯巻こうか」

「お前に巻けるのか?」

「大丈夫、練習したから。ねっ、フウ」

「………ねっ」



キヨはイノリの腕にギブスを固定すると、器用に包帯を巻き始めた。



キヨは本屋で包帯やテーピングの巻き方の本を購入し、フウで練習していたのだった。




「美月にしては上手いな」

「ちゃんと本読んで練習したからね。…ごめんね、こんな事しか出来なくて」

「いや…。充分だ」



キヨはテープで包帯をとめると、イノリを立たせ部屋に連れて行く。




「病院のベッドは固くて寝づらかったでしょ?今日はゆっくりおやすみ」


「…美月。お前は…こんな俺、嫌じゃないのか?」


「嫌って何が?」


「だって俺は1人で着替えらんねぇし、飯も食えねぇ…。お前妊婦なのに辛いだろ。……ごめんな」



申し訳なさそうに俯くイノリを背伸びをしてキヨは抱きしめた。




「私はへっちゃらだよ。イノリ大好きだもん、イノリの為なら何だってするよ。だから変な心配しなくていいから、イノリはゆっくり休んで」

「俺も好きだよ」



イノリはキヨにキスをすると、ベッドに入った。
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