続・祈りのいらない世界で
23・守りたいのはあなただけ
季節はクリスマス。
街や人々が賑わう日に、家のキッチンにも楽しそうな鼻歌が響いていた。
「ジングルベール〜♪ジングルベール〜鈴が鳴る〜♪」
「………る〜♪」
キヨはキッチンでケーキの生地をかき混ぜながら、フウと楽しそうに歌っていた。
ひと通りかき混ぜた生地を型に流し込み、オーブンに入れるとスイッチを押す。
「……けーき?」
「そう、ケーキ。今年のはきっと美味しいから楽しみにしててね」
「……あい」
5人で上京してから、毎年クリスマスケーキはキヨが作っている。
料理の上手いカンナに任せればいいものの、5人の誕生日にいつもカンナにケーキを作らせてしまっている為、キヨが買って出たのだった。
そのためか、毎年クリスマスケーキは固い。
「……まま、ふう、いちご、やっ」
「好き嫌いしないの。いやいや言ってるともったいないお化けが来ちゃうわよ?」
「……おばけ、いやーん」
フウと騒ぎながらオードブルを作っていくキヨ。
暫くするとケーキの焼けた音がした。
「うーん…。あんまり膨らんでないなぁ。…まぁいっか」
膨らみが足りないケーキにベタベタとクリームを塗り、手作りの少しグロテスクな砂糖細工のオーナメントを飾り付けるキヨ。
テーブルに料理とグラス、シャンメリーを並べているとイノリが帰ってきた。
「おかえりなさい♪……って何それ!!」
玄関には大きなテディベアを抱えたイノリが立っていた。
「ふふっ。それ抱っこして電車乗ってたの?イノリみたいにガラの悪い男には似合わなーい」
「クリスマスだからいんだよ!!」
キヨがテディベアを受け取ろうとすると、イノリはキヨに渡さずキヨのお腹にテディベアを寄せた。
「これは美月のじゃない。腹のガキのだ」
「えっ!?私のじゃないの?私のは!?」
「お前は指輪買ったからナシだって言っただろ」
キヨは我が子にイノリを取られたと拗ね始める。
するとイノリは、テディベアの首に繋がれていたドッグタグのネックレスをキヨの首に掛けた。
街や人々が賑わう日に、家のキッチンにも楽しそうな鼻歌が響いていた。
「ジングルベール〜♪ジングルベール〜鈴が鳴る〜♪」
「………る〜♪」
キヨはキッチンでケーキの生地をかき混ぜながら、フウと楽しそうに歌っていた。
ひと通りかき混ぜた生地を型に流し込み、オーブンに入れるとスイッチを押す。
「……けーき?」
「そう、ケーキ。今年のはきっと美味しいから楽しみにしててね」
「……あい」
5人で上京してから、毎年クリスマスケーキはキヨが作っている。
料理の上手いカンナに任せればいいものの、5人の誕生日にいつもカンナにケーキを作らせてしまっている為、キヨが買って出たのだった。
そのためか、毎年クリスマスケーキは固い。
「……まま、ふう、いちご、やっ」
「好き嫌いしないの。いやいや言ってるともったいないお化けが来ちゃうわよ?」
「……おばけ、いやーん」
フウと騒ぎながらオードブルを作っていくキヨ。
暫くするとケーキの焼けた音がした。
「うーん…。あんまり膨らんでないなぁ。…まぁいっか」
膨らみが足りないケーキにベタベタとクリームを塗り、手作りの少しグロテスクな砂糖細工のオーナメントを飾り付けるキヨ。
テーブルに料理とグラス、シャンメリーを並べているとイノリが帰ってきた。
「おかえりなさい♪……って何それ!!」
玄関には大きなテディベアを抱えたイノリが立っていた。
「ふふっ。それ抱っこして電車乗ってたの?イノリみたいにガラの悪い男には似合わなーい」
「クリスマスだからいんだよ!!」
キヨがテディベアを受け取ろうとすると、イノリはキヨに渡さずキヨのお腹にテディベアを寄せた。
「これは美月のじゃない。腹のガキのだ」
「えっ!?私のじゃないの?私のは!?」
「お前は指輪買ったからナシだって言っただろ」
キヨは我が子にイノリを取られたと拗ね始める。
するとイノリは、テディベアの首に繋がれていたドッグタグのネックレスをキヨの首に掛けた。