続・祈りのいらない世界で
「あっ。日付変わっちゃう!!祭ちゃん、ちょっとイノリ起こしてくるね」



キヨは足早にイノリの自室に向かうと、ベッドに寝そべっているイノリをベッドから落とした。



「うぁっ!?何だ、地震か!?」



いきなりベッドから落とされたイノリは、キョロキョロと周りを見渡す。




「おはよう、イノリ。あと何分かでイノリの24回目の誕生日だよ」

「何だ、美月か。マジびびった」



再びベッドへとノソノソ戻るイノリ。


キヨはイノリの上に乗ると、ゆさゆさとイノリを揺さぶる。




「ちょっと!!起きてよ!!0時丁度に1番にイノリにおめでとうって言うって決めてたんだから!!」


「…じゃあ俺の眠気を覚ます為に一発ヤるか?」


「やだ!!お腹に負担かかるからエッチはたまにしかしません。したとしても奥まではダメだよ」


「くそっ…。早く生まれてこいよな、ガキが。思う存分出来ねぇじゃねぇか」


「ガキじゃなくて陽ちゃんね」



キヨは陽生の事を陽ちゃんと呼ぶようになっていた。



キヨはイノリに軽くキスをすると、イノリの腕を引っ張った。




「イノリ小腹空いてない?ケーキはお母さんに先越されたから、イノリの大好物のオムライス作ってあげる♪」

「小腹にオムライス!?重くね?」

「いいの!!先、キッチン行ってるからリビング来てよね」



キヨはリビングに向かうとイノリの母にキッチンを借り、オムライスを作り始めた。


そこに面倒くさそうに降りてくるイノリ。




「祈、寝てたの?本当によく寝るわね、あんたは。図体がバカデカくなるはずだわ」


「うっせぇな!!…それより親父は?何でいねぇの?熟年離婚でもしたか」


「バカ言ってんじゃないわよ!!お父さんは町内会の新年会にお呼ばれしてるのよ。今日は朝まで自治会の人達と麻雀じゃないかしら」



イノリはふーん…と適当に相槌を打つとテレビの前に座り、チャンネルをパチパチと変える。



しかしどのチャンネルも正月番組ばかりで、面白くない。
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