続・祈りのいらない世界で
「あのさ、こんな事いちいち言わなくてもいいと思うけど俺、キヨの事もう好きじゃないから」



キヨの事

もう

好きじゃないから…





「…何で泣くのさ」



泣くつもりなんかなかったのに、キヨの目からはポロポロと涙が零れ落ちていた。





…分かってた。

人の心は変わっていくものだって。



自分はケンに何も答えてあげられないのに、好きでいてもらおうなんて図々しい考えだ。




「…私、欲張りになってたんだね」




ケンがあまりにも優しいから

無償の愛を注いでくれるから


それを当たり前に思って、欲張りになってたんだ。





「恋愛感情が無くなっただけで、キヨの事は変わらず大好きだよ。…だから泣かないで」



ケンは、よしよしとキヨの頭を撫でる。




「…そんな風に泣いてくれると、諦められなくなるじゃん」


「もう私の事、好きじゃないんでしょ?諦めも何もないじゃない」


「建て前って奴だよ。何処かでケジメを付けなきゃ一生俺、このままだろ?」



やっぱりケンは強いんだね。


私がケンの立場だったら、きっと相手の幸せなんか考えないで想いをぶつけてしまう。



だから私は駄目なんだ。
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