続・祈りのいらない世界で
「でさ、農業の仕事って資格とか必要なのかな?コンバインとか操縦するからやっぱりそれなりに勉強しなくちゃだよね」


「それはカンナの両親に相談するのが一番じゃない?」


「そりゃそうだね。今度地元帰って相談して来ようかな」




ケンはふぅっ…と息を吐くと、腕を組んでソファにもたれた。




「でも嬉しいよ。ケンがカンナとのことをそんなに考えてくれてた事が。…カンナには話したの?」


「話してないよ。まだ現実味のない話だから」


「そんな事ないよ。カンナはその気持ちだけで嬉しく想うはずだよ」



キヨがふとフウを見ると、フウはお菓子を少しだけ残していた。


フウはジッとお菓子を見つめている。




「…フウ?お腹いっぱいになっちゃった?」

「……よーちゃんにあげうの。ぶんぶんこしたの」

「ぶんぶんこ?…半分こしてくれたの?」



半分こしたにしては残り少ないおやつ。


それでも、全部食べたい気持ちを抑えて残してくれたおやつは、胸をいっぱいにしてくれる。




「あはは!フウ、あなたは優しいお兄ちゃんね。…でも陽ちゃんはまだお菓子食べられないの。だから全部食べていいよ」


「……よーちゃん、たべられれないの?」


「うん。まだ赤ちゃんだから、おっぱいしか飲めないの。もっと陽ちゃんが大きくなったら、フウのおやつを半分こしてあげてね?」


「……あい!」



ニッコリと笑うフウの頭をキヨは優しく撫でた。




もうすぐ3歳。
まだまだ3歳。

だけど今のフウは凄く逞しく見えた。



「フウお兄ちゃん。陽ちゃんを可愛がってあげてね」



ベビーベッドの柵に掴まり、ヨウセイを見つめるフウにキヨは呟いた。
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