続・祈りのいらない世界で
「フウのお嫁さんは、私が今度生んであげるよ。…ねっ?イノリ」


「……俺は別にヨウセイだけでいいけど」


「えー!?陽ちゃん生む前は一人じゃ終わらせねぇって言ってたじゃんか!」


「…もう、あんな想いしたくねぇんだよ」



イノリはヨウセイをベッドに寝かせると、ネクタイを緩めながら自室へと向かった。

キヨはその後を追う。





「イノリ?」



キヨがイノリの部屋に入ると、イノリは床にスーツとネクタイを脱ぎ捨ててベッドに仰向けに倒れ込んでいた。



キヨはイノリの上に跨り、顔を覗く。




「お前も今回ので分かったろ。俺は…お前がいないとダメなんだって」


「でも私は今もちゃんとイノリのそばにいる。だから大丈夫だよ。…私、強くなるから、陽ちゃんに弟か妹を作ってあげようね」



お姉ちゃんとは色々あったけど、でもやっぱりいてくれて良かったと思う。



親には理解出来ない事も兄弟なら分かち合えるし

親には話せない話も兄弟なら相談し合える。




両親、友達、恋人。

色んな関係がある中で、一番存在が近いのは兄弟だと思うから…。





「今度は女の子がいいかな。…次こそは私に名前を考えさせてね?」


「…ガキが出来たら…な」


「あと2人は欲しいよ。いや、あと3人?」



イノリは何も答えないままソッとキヨを抱きしめた。





これからの家族計画。
フウに伝えるべきこと。
カンナとケンの関係。





キヨなりに悩んで最善の方法を考えていた事は


キヨがいなくても解決するのだと

キヨは知ることになる。
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