続・祈りのいらない世界で

33・タイムリミット

「……あるひ、もいのなか、くましゃんに、であーった♪」

「あー」



ある日の休日。


フウはヨウセイの横に寝転んで、歌を唄っていた。




「……よーちゃん、ふう、しゅきー?」

「うっ!」

「……うん。ふうも、よーちゃん、しゅきよ」



赤ちゃん同士言葉が通じるのか、フウはヨウセイに語り掛けては返事をしている。



「……ちゅー」


フウがヨウセイにキスをするのも日課になっていた。




「フウ。陽ちゃんのヨダレ拭いてあげてくれる?」

「……あーい」



フウはタタタっと走って収納ケースに駆け寄ると、タオルを取って戻ってきた。



この間までトテトテ歩いていたフウの動作が、いつの間にか素早くなっている事にキヨは気がついた。




「……よーちゃん、きれいきれい、しましょうね」



フウはヨウセイの口元をタオルで拭う。


誰が教えたワケでもないのに、フウはキヨの真似をするようにヨウセイの世話をするようになっていた。
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