続・祈りのいらない世界で
「キヨの部屋も随分殺風景になったわね」

「荷物ほとんどあっちに持って行っちゃったからね」



キヨはリビングの居間にあるテーブルを部屋に運ぶと、5人分のクッションを周りに置いた。




「はい、キヨ。お誕生日おめでとう。私達4人からのプレゼントよ」

「わぁ♪ありがとう」

「開けてみて」



キヨはプレゼントを受け取ると、袋を開けた。



中には5人の名前が書かれた手作りの表札が入っていた。


名簿順に5人の名前が並ぶ表札を見たキヨは涙を流す。




「家族みたいでしょ♪板切ったり、貼り付けたりして全部俺らが作ったんだよ」


「………これがあるから俺らはあの家から簡単にいなくなれない」


「色々考えたんだけど、今のキヨが一番喜んでくれるかなって思ってね」


「東京帰ったらポストの横にちゃんと飾れよ」



優しく微笑む4人を見たキヨは、何度も何度も頷いた。




その後、カンナが作ったケーキを食べ騒いでいた5人。


暫くするとカンナとカゼ、ケンが床に寝そべって眠り始めた。




「みんな寝ちゃったね。クーラー微風にした方がいいかな」

「大丈夫だろ、寒くなったら起きるだろうし。…それよりキヨは眠くねぇのか?」

「うん。久しぶりの実家だからかな、眠れないや」



キヨがそう言うとイノリは立ち上がった。
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