続・祈りのいらない世界で
「キヨ!?何でお前っ合コンなんか参加してんだよ!!ふざけんな!!」


「はぁ!?イノリだって参加してるじゃない!!何で私が怒られなきゃならないのよ!!」


「………イノリ。説得力ないよ」


「カゼはうっせぇ!!黙ってろ!!」



いつものように言い争うキヨとイノリを見て笑うと、カンナはカゼの隣に座った。




「カゼ、なんであんた達がここにいるの?私とキヨは頼み込まれて参加したんだけど」


「………この合コン、セッティングしたのケンのバンド仲間なんだよ。だから俺とイノリはケンに誘われただけ。イノリは嫌がってたけどね」



歌を聴くでも女の子達を見入るわけでもなく、ただ黙々とテーブルに並ぶご飯を食べているカゼ。


カンナはドリンクのメニューを手に取ると、まだ言い争っているキヨとイノリに視線を移した。




「イノリのバカ!!つり目!!寝癖!!怒りんぼ!!」

「うっせぇ!!このチビ!!たれ目!!泣き虫!!ちんちくりん!!」

「ちんちくりんって何よ!?イノリの○△□野郎!!」



キヨが大声で下ネタを叫ぶと、部屋の中は静まり返る。


キヨは我に返ると真っ赤になってカンナに駆け寄った。




「ナイスよ、キヨ。これで男が寄ってこないわ」

「うぅっ…カンナの意地悪」



真っ赤になってカンナの肩に顔を隠すキヨに、イノリとカンナとカゼは笑った。



合コンはただのカラオケ大会のようになっていて、ケンがマイクを独占したまま進んでいった。


時折、番号の交換をしている男女やカゼに絡んでくる女の子がいたが、それは普通の合コンの風景で、特に変わった事はなかった。




「私、トイレ行ってくるね」

「1人で大丈夫?私もついていこうか?」

「平気だよ。カンナはカゼが誘惑されないように見張ってなきゃでしょ」




キヨはニヤリと笑うと、1人で部屋から出て行った。
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