続・祈りのいらない世界で
「おい、ケン。合コンにいた金髪のいい人そうな面した男、お前のバンド仲間なのか?」


「え?金髪?…シュンの事か。あいつは最近入ったばっかのメンバーだけど、どうした?」


「…どんな男だ?」


「シュンは裏表が激しいよ。女たらしだって聞いたし。しかも最悪なことに処女キラーらしいよ。…でも何で?イノリ、シュンに惚れた?」



イノリはケンに蹴りを入れると、走ってキヨの後を追った。




「ん?イノリは何処行ったの?あれ、キヨは?」

「ケン、あんたのお気楽さにはいい加減呆れるわ」

「………周りを見てないんだね」



カゼとカンナは溜め息を吐くと、ケンを引っ張りながらイノリの後を追った。





「あの、何処に食べに行くんですか?」

「ん?ホテルの中にあるレストランなんだよね」

「え?ホテル!?」

「そう、ホテル。…そんな警戒しないでよ。何もしないよ?本当に飯だけだから」



男はニコッとキヨに笑いかける。


ホテルという響きに少し不信感を抱いたキヨだが、優しそうな男について行く事にした。




しかしキヨが男と辿り着いた場所は、どう見てもレストランなどないホテルだった。



「え?ここですか?とてもレストランがある雰囲気じゃないけど…」

「そりゃそうだよ。…ラブホだからね」

「…っ!!困ります!!私、帰る」




キヨが1人出て行こうとすると、後ろから抱きつかれた。
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