続・祈りのいらない世界で
「離して!!やだっ!!!!」


「うるせぇ!!お前、男に免疫なさそうだからチョロいと思ったんだよ。チビだし力なさそうだからな!!」


「何それ!!信じらんないっ!!」


「男なんてそんな生き物だ。どうせお前みたいな女は漫画ばっか読んで、男はみんな王子様だとでも思ってんだろ。バカな女」




確かにバカだよ。


理想ばかり高くて、夢見て現実から目を反らしてるような女だよ。



でもいるもん。
現実にいるもん…


私の理想そのものの王子様は、ちゃんとこの現実に存在してるもの…






「イノリっ!!!!」

「誰の名前叫んでんだよ。空を飛んできてくれるヒーローでも呼んでんのか?くくっ…」



男に部屋へと引き摺られているキヨが泣きながら抵抗していると、大好きな低い声が聞こえた。




「…お前、人の女泣かせてんじゃねぇよ」



キヨと男が振り向くと、息を切らしたイノリが立っていた。




「何だ、北山くんか。今いいとこだから邪魔しないでくれる?」



男がイノリに笑みを向けると、イノリは男の胸倉を掴んだ。




「うさんくせぇ笑顔向けんな。気持ちわりぃ。……俺の女泣かせておいて笑ってられるのも今の内だ」


「俺の女?北山くん、きよちゃんの彼氏なわけ?…趣味悪っ」


「あ?」



男はそう言うと笑い出す。

キヨは震える足が砕け、その場にしゃがみ込んだ。




「きよちゃんちっちゃいから可愛く見えるけど、女の子らしからぬ事を平気で言うし、美人じゃねぇのにガード堅すぎるし…女の魅力が何もねぇじゃん。
北山くんはそこそこのイケメンなのに、勿体ねぇよ。俺がもっといい女紹介するよ?」


「…お前にキヨの何がわかる!!」




イノリはそう叫ぶと男を殴り飛ばした。



イノリと男が殴り合っているとカゼ、カンナ、ケンの3人が駆け込んできた。
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