続・祈りのいらない世界で
「キヨ、あの頃より似顔絵上手くなったわね」
「もう大人だもん、幼稚園の頃より下手だったらマズいよ」
「………キヨが描くイノリ、ガラ悪いよね。似てるけど」
「黙れカゼ!!」
夕日が沈む頃。
5人の家の前には
くりくり頭の目つきの悪いイノリ
麦わら帽子を被ったキヨ
極端に眉毛を凛々しく描かれたカゼ
お姫様のように目がキラキラ光っているカンナ
何故かハゲているケンの似顔絵が描かれていた。
幼稚園児の頃と違って地面に落書きする事に、壮大さも楽しさも感じなかったけれど、今でも5人の似顔絵を描ける事が嬉しかった。
いくつ歳をとっても、こうして5人でいられる事が幸せだった。
そう思っていたのに
そう思えたのに
残酷な時間は、音を立てずに5人の元に訪れてしまった…。
静かに忍び寄る残酷な時間を知らせるかのように
コンクリートに描かれていた5人の似顔絵は
突然降り注いだ夕立に消された。
「もう大人だもん、幼稚園の頃より下手だったらマズいよ」
「………キヨが描くイノリ、ガラ悪いよね。似てるけど」
「黙れカゼ!!」
夕日が沈む頃。
5人の家の前には
くりくり頭の目つきの悪いイノリ
麦わら帽子を被ったキヨ
極端に眉毛を凛々しく描かれたカゼ
お姫様のように目がキラキラ光っているカンナ
何故かハゲているケンの似顔絵が描かれていた。
幼稚園児の頃と違って地面に落書きする事に、壮大さも楽しさも感じなかったけれど、今でも5人の似顔絵を描ける事が嬉しかった。
いくつ歳をとっても、こうして5人でいられる事が幸せだった。
そう思っていたのに
そう思えたのに
残酷な時間は、音を立てずに5人の元に訪れてしまった…。
静かに忍び寄る残酷な時間を知らせるかのように
コンクリートに描かれていた5人の似顔絵は
突然降り注いだ夕立に消された。