☆コードC☆

「行こ。」
「……うん!」

裕君の後ろにくっついて、私は皆に付いていく。何だか、変な感じ。
私ってもしかして子供っぽいのかな?
よく考えれば私って経験値がかなり少ないし、好きな人だって始めて。
皆、もう彼氏とか彼女とか居るのかな……?
もしかしたら、裕君だって。優しい人に、皆弱いだろうから。
そう思ったらなんだか寂しくなった。

「ねえ、何歌う?」
「もち永遠で遊!」
「聞いたことない。マイナーじゃね?」
「良いじゃん別に~。」

皆楽しそう。アタシは緊張してる。
こんなの、初めてだもん。
ちょっと怖くて、いつも以上に無口になってた。

「どうした?」

低い声が私の横で心配してくる。
安心するような声。

「裕君、ううん、平気。慣れてないだけ……。」
「…………。」

少し残った煙草の臭いで気持ち悪くなって、私はずっと烏龍茶を飲んでた。
喉なんか、渇いてないのに……。でも、何となく気持ち悪くて。

“ポンポン。”

温かい感触が頭に残る。
彼の手だった。

「大丈夫だよ、皆友達なんだし。嫌だったら一緒に外で待っててあげるから。」
「…………。」

烏龍茶を飲むのをやめて彼を見た。
顔が熱くなってた。だって、優しいから。
暗くて、見えなかったと思うけど。
イントロとかで、聞こえなかったと思うけど。
アタシの顔は多分凄く赤くて。
アタシの胸は、凄くうるさかった。


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